京都大学大学院地球環境学堂 環境調和型産業論分野
 藤井研究室

 Kyoto University Graduate School of Global Environmental Studies
 Environmentally-friendly Industries for Sustainable Development
 

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 News


・ 原田助教らが第53回環境工学研究フォーラムで環境技術・プロジェクト賞を受賞しました
(2016/12/8)

・ 原田助教らがOutstanding Presentation Awardを受賞しました
(2013/10/29)

・ 原田助教が参加する「トイレの未来を考える会」が日本水大賞を受賞しました
(2012/6/26)
概要はこちら(水大賞HP)

・ 災害対応型し尿分離トイレの開発を行っています
(トイレの未来を考える会)

・ 被災地で利用可能な緊急用し尿分離型トイレ(簡易版)の作り方
 助教
 原田 英典

アジア・アフリカのトイレと水・衛生問題,そして下痢症リスクの管理

明日,安全な水を十分確保できるだろうか。トイレがない,あるいは不衛生なトイレしかなく,排泄をためらう。こうした状況は日本にはほとんどありませんが,私が半年ほど過ごしたベトナム最貧困集落(当時)ではありふれていました。水と衛生の問題は国連ミレニアム開発目標(MDGs)などにも挙げられた世界的課題ですが,今なお世界には安全な水を手にすることができない人が6.6億人,適切な衛生施設(トイレ)を持っていない人が24億人います。

世界の下痢症の8割は不適切な水・衛生環境に起因するとされ,下痢症の疾病負荷は地球規模ではあらゆる健康リスク要因の中でトップ10に入るほど大きく,年間で70万人の幼児(5歳未満),1分に約1.3人の幼児が下痢症で死亡しているのが現実です(Walkerら,2013)。2015年に定められた国連持続可能な開発目標(SDGs)において引き続き水・衛生の改善が目指されています。

私は大学院時代に水供給がない,トイレがない生活を経験したことがきっかけで,それ以来一貫して,開発途上国の水・衛生問題(WASH:Water, Sanitation and Hygiene)をテーマとした衛生リスク低減と健全な物質循環の実現を目指した研究に取り組んでいます。現地長期滞在を含めたフィールド調査をベースとして,衛生の最も基本的な要素であるトイレ問題,し尿と汚水の適正な処理・管理,そしてし尿由来の下痢症のリスク管理を大きなテーマとしています。

多くの国の研究者と連携しながら,このテーマに関心を持つ学生さんたちと共に研究しています。研究フィールド,パートナーは多様で,例えば農村やスラムではNGOと連携し,都市部の汚水管理では下水道や水質に関係する民間企業と連携しています。対象国はアジア・アフリカ地域の開発途上国で,ベトナム(大都市〜地方都市),バングラデシュ(スラム),ウガンダ(都市),ケニア(農村)が主ですが,そのほかネパール,タイ,マラウィなども対象としてきました。これらの国の研究機関と連携するとともに,最近では,この分野の研究を積極的に進めているスイスの研究者とも積極的に連携しています。

<この研究テーマに興味を持った学生さんへ>
このテーマに取り組む学生さんには,まずは開発途上国の水・衛生問題について学んでもらいます。合わせて,下記の現在実施中の研究プロジェクトあるいはそれらに派生する研究課題に応じて,これまで培ってきた分析や調査の方法を学んだのち,数ヶ月に渡る海外フィールド調査に取り組むこととなります。海外フィールド調査では,カウンターパート(現地大学やNGOなど)の協力の下,現地の若手スタッフ・大学院生などとコミュニケーションをとりながら,調査を進めます。

多くのフィールドで,現地の人たちはエネルギーに溢れ,生き生きとした表情を見せてくれます。研究成果を得ることのみならず,こうした人たちと触れ合うことは,フィールド調査の醍醐味の一つです。一方,彼らの生活の裏にある水・衛生問題の実態を知り,現地の人が何を考え,どう感じているのかを自分自身で感じ,考えることも,フィールド調査の重要な意義です。多くの卒業生たちは調査地域に友人を作り,卒業後は開発途上国問題や水・衛生問題に関連した仕事・研究に従事しています。


現在実施中の主な研究プロジェクト

- 科学研究費補助金・基盤B(一般)[研究代表者]
主要な病原性細菌の一斉同時定量とスラムの特殊性を考慮した下痢症リスク解析

- 科学研究費補助金・基盤A(海外)[研究分担者(代表:藤井滋穂・京都大学)]
アジア都市における下排水系データベースと物質収支モデルの構築

- 下水道技術研究開発(GAIA)[研究分担者(代表:安井英斉・北九州市立大学)]
地域の汚水組成とその長期変化に応じて 最適処理プロセスを設計するための技術

- 総合地球環境学研究所・FS研究[研究分担者(代表:船水尚行・北海道大学/総合地球環境学研究所)]
サニテーション価値連鎖の提案-地域のヒトによりそうサニテーションのデザイン-

- 民間企業との連携研究
・し尿腐敗槽と都市下水・し尿汚泥管理(ベトナム)
・簡易水質モニタリングシステムの途上国河川での実証研究(ベトナム)
・途上国向けコンポストトイレの開発


過去に参加した海外プロジェクト

- ベトナム・ラムドン省ダンフォン村でのエコロジカルサニテーショントイレ導入プロジェクト
((公社)日本国際民間協力会と)

- バングラデシュ・コミラでのエコロジカルサニテーショントイレ導入プロジェクト
((N)下水文化協会と)

- ベトナム・ハノイ市における腐敗槽機能改善プロジェクト
(ベトナム科学技術アカデミーと)

- 中国内モンゴル省エルドスエコタウン評価プロジェクト
(ストックホルム環境研究所と)

- アフリカ・マラウィ国での循環型衛生改善評価プロジェクト
((財)国際湖沼委員会および(社)日本国際民間協力会と)

- ベトナム・ウガンダ・日本・スイスのし尿汚泥の組成および脱水性の国際比較
(スイス連邦水質研究所と)

- ベトナム・し尿農業利用集落での糞便曝露解析における手由来曝露評価モデル
(スイス連邦水質研究所と)

- ケニア・ビクトリア湖周辺集落でのエコロジカルサニテーショントイレの成立要因
((公社)日本国際民間協力会と)


受賞歴

- 第7回下水文化研究発表会 優秀論文賞

- ストックホルム日・瑞共同環境コロキアム 優秀ポスター賞

- 第47回環境工学研究フォーラム 論文賞

- 第48回環境工学研究フォーラム 環境技術・プロジェクト賞

- 第14回日本水大賞(グランプリ)

- JSPS Asian Coreプログラム総括シンポジウムIII 優秀プレゼンテーション賞

- 第53回環境工学研究フォーラム 環境技術・プロジェクト賞


業績

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略歴

2002年 京都大学工学部地球工学科卒業(環境工学コース)

2004年 京都大学大学院地球環境学舎環境マネジメント専攻修士課程 修了

2006年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員採用(2008年3月まで)

2007年 京都大学大学院地球環境学舎環境マネジメント専攻博士後期課程修了
     博士(地球環境学)

2007年 ストックホルム環境研究所客員研究員(5ヶ月)

2008年 京都大学大学院工学研究科附属流域圏総合環境質研究センター研究機関研究員

2008年 京都大学大学院地球環境学堂特定助教(EMLプログラム担当)

2011年 京都大学大学院地球環境学堂助教

2014年 スイス連邦水質研究所途上国水衛生部門(Eawag/Sandec)(13ヶ月)

2015年12月 スイスより帰国,京都大学にて勤務再開




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